美容師の「技」を計測し可視化されている研究内容についてインタビューさせていただきました。「美容師のスキル=髪を切る」だけではなく【人の感性】【施術している間の満足度】も美容師の付加価値でありスキル。“そのスキルを計りたい!”という想いに迫りました。
近畿大学 池田篤俊先生
美容師の施術動作の「ブラッシング」に「ブラッシング」があります。熟練者は利用者に無理な負担を与えないように適切な動作・力加減・道具操作を行っています。しかし、身体の動かし方や力の入れ具合などの技能は言語化や教育が難しく、属人的になりがちという問題があります。例えば、ブラシが髪に引っかかった時の対処は、引っかかることの事前予測が難しいため、引っかかりに対応できかつ髪に適切なテンションをかけることができる動作が必要です。熟練美容師はこのような状況に自然に対応する技能がありますが、経験が浅い場合は力を入れすぎたりすることで対応が遅れて、利用者に負荷をかけてしまうことがあります。このような技能をモーションデータ+触覚データとして定量化し、技能伝承や教育ツールへと応用することが研究目的です。
本研究ではモーションキャプチャシステム(OptiTrack)や触覚センサー(池田研で開発されたセンサー)・生体計測など各種センサーを活用して次のようなデータを計測しています。
・ブラッシング動作(腕・手・指など)
・ブラシの動き
・指先の触覚情報
・指の屈筋・伸筋の筋電
・対象にかかる力
これらのデータから、ブラシが髪に引っかかった時の力の入れ具合の変化や動作の変化を分析し、熟練者と初心者の技能の違いを明らかにすることを目指しています。現在、引っかかりが起きた際に力の入れ具合やブラシの動きに熟練者と初心者の間に違いが見えてきています。
以前、所属していた研究室(奈良先端科学技術大学院大学 ロボティクス研究室(現在は閉室))でモーションキャプチャOptiTrackを使用していて、小型で人の動作計測に十分な性能と私の研究との相性の良さを認識していたことが導入の背景です。特にカメラが小型であることは、美容室や工場などの現場での計測する際に大きなメリットになっています。
≪OptiTrackを選んだ理由≫
・カメラが小型で設置しやすい
・人体動作計測に十分な精度
・柔軟な導入環境
・コスト面で現実的
・キャリブレーションが簡便
私が学生だった時のモーションキャプチャに比べて、セットアップ(カメラ配置やキャリブレーション)が簡単になっているように思います。カメラが小型なので、調整も容易になっていると感じます。また、ソフトウェアのバージョンアップとマーカーレスモーションキャプチャソフトウェアとの連携で、道具はマーカーで計測し、人はマーカーレスで計測するといったことができるようになっていて、とても便利だと思っています。
≪効果≫
・人と道具の同時計測が簡便に実現できる
・現場で計測を容易にする
・研究室で開発したシステムとも同期できる
熟練者の方は、通常業務の間に計測に協力していただいているので、多くのマーカーを付けなくても計測できるのはメリットです。美容だけでなく工場での指先を使った繊細な組立作業やスポーツ(テニスなど)への応用も行っています。
まずは、熟練者の技能を着実に計測できるシステムを構築し、多くの熟練者や熟練した作業を計測したいです。道具の使い方や身体の使い方といった技能につながる特徴を分析し、何らかのモデルを提案できるよう研究を進めています。そのためには、最適なセンサは何か?カメラの台数や配置はどうするべきか?マーカーのデータとマーカレスモーションキャプチャCapturyのデータをどのように活用していくか?などの計測システムの改善も必要になります。
現在は、ブラッシングに焦点を当てて研究していますが、髪質の診断やカットなど美容において重要な技能はまだまだあるので、もっと研究を進めていきたいです。
最終的には、熟練者の内的情報を計測可能なシステムを作り上げ、美容をはじめとした熟練技能の継承および教育高度化を目指します。
≪今後の展望≫
・分析した熟練技能のロボット等への応用
・教育に使える技能フィードバックデバイスの開発
・髪質診断やカットなどへの発展
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